「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第2章 芝谷駅で迷う外国人と幾つもの誘惑
「Ah, I understand(ああ、わかった)」
青年は丸井の隣まで行き、つり革につかまりました。
「やれやれ、こっちの電車も混んでいますか」
「今のところ、座れそうもねえな。我慢するか」
「また、人にしがみつかないでくださいよぉ」
「お前、さっき芝谷駅に到着する前にあった出来事を気にしてるな?」
「さあね」
「さあねって……」
「……」
横で理想のペアが会話をしている間、外国人のフリをした青年は携帯を見ています。黒部コーチとチャットのやりとりをしているようです。
『今、少年二人と冬花原駅行きの電車に乗ったよ。大丈夫、怪しまれていない』
と、青年がチャットを送ると、打つのが早いのか、黒部コーチからすぐ返信が返ってきました。
『丸井くんと木手くんを簡単にゲームオーバーは出来ないことは伝えておきますよ』
『ああ、さっき電車に乗る前、ゲームオーバーまであともう少しだったんだが失敗したよ。なかなか手強いかもな』
青年は木手の方をチラッと見たあと、返信を返します。すると、黒部コーチから早い返信です。
『怪しまれないように気を付けて。引き続きお願いしますね』