「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第2章 芝谷駅で迷う外国人と幾つもの誘惑
「おい、木手」
「はい」
跡部に呼ばれ、耳を貸すようジェスチャーをしていたため、木手は跡部の近くまで行きます。
「黒部コーチから伝言だ」
「伝言とは?」
小さい声で跡部に聞き返した木手です。
「ゲーム終了までの間、お前は丸井を誘惑から阻止するんだってな。あーん」
と、跡部は木手に再び耳打ちします。
「はい」
「丸井が駅で切符以外のものを買ってしまったら、すぐゲームオーバーだ。分かったな?」
跡部に無言で頷いた木手が丸井の方へ顔を向けると、少年は細目で風船ガムを膨らませていました。
「何か?」
と、木手が聞くと、
「跡部と何ひそひそ話してたんだよ。気になるだろい」
「何でもありません。それより次の駅にすぐ向かわなくていいのですか?」
「ああ」
丸井は返事後、先へ行く木手の背中を見ながら、風船ガムをまた膨らませます。
「丸井」
「ん?」
跡部に呼び止められ、丸井は振り返りました。
「負けるんじゃねえぞ」
と、誘惑に負けないよう跡部は言います。しかし、
「ああ」
丸井は木手に負けるなと跡部が言ったと勘違いしたようです。強く頷いていました。