「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第6章 (最終話)エピローグ
「ところで丸井くん、外国人のフリをしていた彼が言っていたことを黒部コーチに伝えましたか?」
木手は水筒で水分を摂ってから思い出したか、丸井に話し掛けます。
「あ、まだだった。キテレツは?」
「オレも言っていません」
「合宿所に帰ったあと、すっかり忘れてたな。黒部コーチのところに行くか」
理想のペアはモニタールームへ向かいました。中に入ると部屋は暗く、モニターの前に座っていた黒部コーチがブルーライトで照らされていたのです。丸井は怖がっていましたが、木手は冷静な表情でした。
「丸井くん、木手くんですね。どうぞ、入ってください」
黒部コーチは電気を付け、理想のペアを奥のテーブルへ案内しました。
「失礼します」
と、丸井が先に入り、木手は一礼して中に入ったのでした。
「本日もサーキットトレーニング、お疲れ様でした。丸井くん、もう大丈夫ですね」
木手へのぎこちなさがなくなったことをモニター越しで見て感じ取っていた黒部コーチです。柔らかく微笑みます。
「はい!」
丸井は無邪気な少年が笑ったような笑顔で頷きました。
「・・・・・・」
木手は黒部コーチが丸井に何のことを言っているか気になっていたようです。黒部コーチ、丸井の順に見ています。