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「新テニ」理想のペア、Exciting situation

第5章 湫袋駅行き電車内での誘惑



 座席に座り、疲労と体力が回復してきた理想のペアはつり革に掴まって立っていた乗客に席を譲り、移動します。


 二両目まで戻ると、濡烏とカークの姿がありませんでした。


 「あれ、どこ行った? あの二人」
 風船ガムを膨らませ、目をしばたかせた丸井です。


 「一両目にでもいるのでは?」
 と、返事をした木手は周りをチラチラ見ました。子どもの外国人を探しているようです。


 「だよな。五両目からこっち戻るまでの間、あの二人の姿はなかったよな」
 丸井も座席と荷物棚に顔を向け、子どもの外国人がいないか探していました。


 二両目の中間近くまで理想のペアが来たときです。


 「何うろうろしてるの?」
 ベージュのハーフアップした男子高生が話し掛けてきました。


 「おっと」
 男子高生の声と電車の揺れが同時だったため、丸井はよろけます。


 「子どもの外国人を探しています。見かけませんでしたか?」
 木手が男子高生に聞くと、


 「知らねえよ」
 と、彼は答えました。


 「あ、それ・・・・・・」
 男子高生の手に持っているものに目が行った丸井です。


 「ガムだ」


 「おおー!」
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