「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第5章 湫袋駅行き電車内での誘惑
理想のペアは濡烏とカークが言い合っているのをよそに、別の車両へ行って子どもの外国人を探します。
そこは三両目でした。丸井と木手は二両目から移動したことになります。三両目も混雑していました。
今のところ、子どもの外国人の姿は見当たらず、三両目にいるのは社会人と学生だけでした。
「こっちの車両にはいないか」
「よく探しましょう。子どもは思わぬところにいたりするものです」
木手は荷物棚の方を見て探していました。
「上の方にはいなそうだぜ」
丸井も木手と反対側の荷物棚を見ますが、子どもの外国人の姿はありません。
「さすがに荷物棚の上に登ったりはしませんか」
「ちがう車両に行ってみるか」
と、丸井が木手に言ったときです。
「君たち、どうしたの?」
と、座席にいた金髪の高校生に声を掛けられます。高校生は飴を舐めていました。
「あ、子どもの外国人を探していて・・・・・・」
「すみません、見ていませんか?」
丸井が答えたあと、尋ねた木手です。
「オレは見てないけど」
「ところで、飴美味しそうですね」
と、丸井が言ったとき、ハッと木手が丸井を見ました。