「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第5章 湫袋駅行き電車内での誘惑
「ラムネ味の飴だぜ。食う?」
「いいんですか。食べちゃおうかな」
丸井が金髪の男子高生から飴を受け取ろうとすると、木手が咳払いをします。
はっとなった丸井は、金髪の男子高生に断り、木手と子どもの外国人を探すことを再び始めました。
丸井だけ二両目に戻りますが、濡烏とカークがまだ英語で何かを言い合っていました。そのため、面倒臭くなった丸井は小さくため息をつき、三両目の隅々まで探していた木手のところに戻ったのでした。
「いた?」
「いいえ」
「いないか。さっき、あっちの方に戻ったら、まーだあの二人、睨み合っていたよ」
「丸井くん、カークと言う彼を止めてきては?」
「だから、なぜ、カーク限定・・・・・・」
「行っていいですよ。子どもの外国人はオレ一人で探しますよぉ」
「なーに言ってんだか」
丸井は両手を頭の後ろに組み、木手の横を通り過ぎます。
「ふん」
濡烏とカークのいる二両目に戻らず、四両目に行こうとしていた丸井に鼻で笑っていた木手でした。木手も丸井のあとについて行きます。
「こっちの車両にもいないかな」
「見当たりませんねぇ」
四両目に来た理想のペアは、三両目のときと同じように座席と荷物棚をよく見て探しました。けれども、子どもの外国人は見つかりません。