「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第1章 プロローグ
「オレは木手のこと、そんなに気にしてるつもりじゃないですけど」
「それですよ、丸井くん。それを不安定と私は言っています」
「本当にそこまでじゃないっすよ。よくぶつかったり、行き会ったりするなって思うようになっただけで……」
丸井が困っていると、黒部コーチはニコッと笑いました。
「興味がなければ、そこまで考えられません。そんなあなたにゲームです」
「ゲーム?」
「丸井くんに呼び出しの件はそれです。そのゲームに、木手くんも参加します」
「あいつも!?」
嬉しそうな丸井の様子を確認後、黒部コーチは続けて話します。
「はい、木手くんにはゲームのことをもう話してあります。また、これから話すゲームに他の中学生たちも協力してくれます」
「へえー」
「ゲームは明日の午後、開始します。会場を申し上げますと、地下鉄です」
「駅ですね」
「はい、新色駅からスタートし、各五つの駅で待っている中学生からボールそれぞれ一個を預かります。全部で計五個です。それで、最終目的の駅にいるゴールの中学生のところまで木手くんからボールを奪われず、逃げ切れたら丸井くんの勝ちとなります」
「木手と地下鉄で勝負をするってことですか」
と、言った丸井に黒部コーチはニコッと笑い返し、