「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第1章 プロローグ
丸井は複数のモニターに映る自分の姿に目を丸くします。
木手とぶつかっているところや、行き会っているところがほぼ映っていたからです。幸い、ロッカールームの場面は映っていなく、ホッとした丸井でした。
「誤解をされないように言います。さすがにロッカールームのように着替えられる場所やトイレ、お風呂、宿舎部屋の中など、合宿所メンバーのプライバシー侵害に関わるところまでは監視カメラを回していません」
「そうっすよね」
丸井は苦笑して返事をしました。
「さて、丸井くん、モニターを観て分かったでしょう。君が木手くんに慌てふためいている姿を」
「……」
そこまで口に出さなくてもと、丸井は黒部コーチを細目で見て風船ガムを膨らませます。
黒部コーチにリプレイ再生してもらったあと、丸井はシリアスな表情を浮かべていました。
「何やら、木手くんのことをいろいろ気にしていらっしゃるようですね」
「……はい」
丸井は正直に返事し、頷きます。
「良いことだと思いますよ。その人に興味がなければ何も感じることはありません。個人差によりますが、君はまだ中三で気持ちのコントロールが不安定です。初めは相手が気になる気持ちを受け入れ難いかもしれませんね」