「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第5章 湫袋駅行き電車内での誘惑
「別に、電車を乗り間違えないか気になっていただけだろい」
丸井はごまかすように風船ガムを膨らませますが、
「彼らに何か一言でもおっしゃっていただきたかったと? それとも、丸井くんがカークと言う外国人に話したかったことでも?」
と、構わず尋ねた木手です。
「なぜ、カーク限定?」
丸井は苦笑し、こけたマネをしました。
「あなたと彼、親しそうだったので」
「はぁ」
木手の発言に首を傾げ、さらにこけたマネをした丸井です。
「冗談です。彼はあなたにやたら絡んでいました」
「それを言うなら、お前だってブレイトンに気に入られてただろい」
「はあ」
こけるマネまではしませんでしたが、今度は木手が首を傾げる番です。
「・・・・・・」
丸井はニヤッとした表情からむっとしたような表情になっていました。
「彼の気持ちは知りませんが、オレは大して彼に興味がありません」
「へぇー」
「あなた、信じてないでしょう」
「Oh, the train has arrived.(お、電車来たぞ)」
外国人のフリを続けている濡烏が英語で理想のペアに電車が来たことを教えます。