• テキストサイズ

「新テニ」理想のペア、Exciting situation

第1章 プロローグ



 「おい、ジャッカル? ジャッカルゥー」
 と、丸井の声がロッカールーム内で響くだけでした。


 それから、木手とぶつかったり、行き会ったりすることについて、何も考えないことにした丸井は、自主練に集中していました。


 ラケットの素振りや、サーブ練習を繰り返し、ひと汗かいたときです。珍しい人物に丸井は呼び出されました。戦略コーチの黒部由起夫です。


 これまで、丸井は黒部コーチとあまり話したことがなく、どちらかと言うと初対面に近いため、緊張した面持ちでいました。


 黒部コーチのあとを付いて行った丸井が来た場所はモニタールームでした。モニタールームの中に入ると暗く、複数のモニターのブルーライトで丸井の目がチカチカしてきます。


 「ここにどうぞ」
 明かりを点けた黒部コーチは椅子を用意し、丸井を座らせました。


 「用は何ですか?」
 丸井は尋ねたあと、風船ガムを膨らませます。


 「丸井くん、この頃、君は木手くんにぎこちなさのようなものを感じていますね」


 「え、普通ですけど」
 黒部コーチの言うことに固唾を飲んだ丸井ですが、いつものように笑顔でそう言いました。


 「これを観てもですか?」
 黒部コーチはこれまでの約一週間分のモニターをコンピューター操作しながら、丸井に見せました。
/ 151ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp