第2章 任務
まぁ、男女で出掛けていればどうしてもそういう風に見られてしまう。
二人は運ばれて来たおはぎとあんみつを食べながら小声で話す。
「思ったよりも被害者が出てるみたいね。」
「一人二人なら事件にならねぇからな。」
「日が暮れる前に山の方でも見とく?」
「山は俺が見てくる。お前はもう少し聞き込みと、村の近くを見回ってくれ。」
「りょーかい。」
楓がにこり、と笑う。一瞬、その笑顔に見惚れかけて、実弥は慌てて外に目を向けた。
甘味処を出た後は二手に分かれる。実弥は鬼が潜みやすそうな山の中を周り、楓は村の中、若い女の子が訪れそうな雑貨店や呉服屋で聞き込みをする。
「実弥君、そっちはどうだった?」
半刻程して、先程の村で再び待ち合わせる。
「山の中に何ヵ所か血の跡があった。鬼の気配はなかったが、まぁ、食ってるな。」
実弥は先程の生々しい血の跡を思い出した。
「そっちはどうなんだよ。」
「この村だけじゃなくて周辺の村も合わせると両手じゃ足りないくらいの数ね。若い男の人もいなくなってるけど、やっぱり若い女の子が圧倒的に多いわね。」