第2章 任務
「時間ぴったりだね。」
待ち合わせ場所にはもう楓がいた。風に吹かれて、楓の髪がふわりと靡いた。
「だから、遅刻なんかしねぇって」
「はいはい、わかったわかった。じゃ行こうか。」
楓が走り出す。その後を実弥も追う。
「とりあえず近くの村まで行って、休憩がてら聞き込みでいい?」
「あぁ。」
ざっくりとした作戦を走りながら立てる。
一刻程走ると、休憩すると言っていた村が見えて来た。村の手前で立ち止まり、息を整えてから村に入る。
「おはぎ食べる?」
楓が甘味処を指差した。
「そうだな。とりあえず腹ごしらえだな。」
二人で甘味処に入る。
「いらっしゃいませ。こちらにどうぞ。」
恰幅の良い女将が、窓際の席を差す。二人でテーブルに座り、メニューを覗き込んだ。
「実弥君はおはぎと抹茶?」
「あぁ。」
「じゃあ私あんみつにしよ。すみませ〜ん。」
楓が声をかけると、先程の恰幅の良い女将が出てきた。
「おはぎと抹茶、それとあんみつください。」
「はいはい、少々お待ちくださいね。」
女将が踵を返す前に楓が声を潜めて話しかける。
「やけに若いお客さんが少なくないですか?」
「まぁ、知らないの?ここいらじゃ、最近、若い人ばかり行方不明になっててね。それこそ最初は駆け落ちだの家出だの言われてたけど、どうも違うみたいでね。特にお嬢さんみたいな若い女の子は気をつけな。彼氏にちゃんと守ってもらうんだよ。」
彼氏と言われ、実弥は思わず咳き込んだ。こんな話しをする時は、決まって恋人同士だと思われる。