第8章 素直になれたら
注文した品が運ばれてきた。実弥の前におはぎと抹茶が置かれる。
楓「おはぎで良かったよね?」
楓が可愛らしく首を傾げる。自分の分だけじゃなく、実弥の分も注文してくれていたようだ。そういうところは勝てないと思う。
楓「見て見て。あんみつにアイス乗ってる〜。美味しそう。実弥くんもアイス食べる?一口ならあげるよ。」
実「いらねぇよ。」
楓「実弥くん、相変わらず冷たい〜。」
そんなことを言いながらも、楓はニコニコしながら、あんみつにスプーンを入れた。
楓「ん〜、美味しい。あんみつ最高。」
ふと実弥を見ると、今まで見たことないような優しい目で楓を見ていた。急に恥ずかしくなり、楓は俯いた。
実「、、、お前、髪伸びたな。」
俯いた時に楓の髪が顔にかかった。ずっと肩の上くらいで切り揃えられていた楓の髪は、今は肩を隠すくらいになった。
楓「髪、伸ばしてみようかな、って。」
そうしたらあの人に少しは近づけるんじゃないかと思って。
楓は心の中で呟いた。