第7章 粂野の死
実弥は目を開けた。頭がガンガンする。酒を浴びる程飲んだから、そのせいだろう。
粂野匡近が死んだ
それも自分の目の前で。なぜ彼は死んでしまったのか。なぜ死んだのが自分じゃなかったのか。実弥は自問自答を繰り返していた。
楓「実弥くん?起きた?」
実弥がガバッと起き上がる。
実「てめぇ、なんでここにいんだ。」
楓「お見舞いよ、お見舞い。お粥作ったけど、食べられる?」
楓がお盆を持って部屋に入ってくる。
楓「あ、お酒はダメよ。傷にも良くないし。ぜーんぶ捨てちゃったからね。」
実「あぁ?てめぇ、何勝手なことしてやがる。」
楓は、右手を振り上げると、思い切り実弥の頬を張り飛ばした。
楓「みんな心配してるのよ。どうしてわからないの。」
楓は両目から大粒の涙を流していた。実弥はボー然としながら、楓を見つめる。
楓「ねぇ、わかる?何人の人があなたを心配してるか?手当だってろくに受けないで、酒ばっか飲んで。こんなんじゃ粂野さんだって天国に行けないよ。」
実弥は項垂れた。両手で顔を覆う。