第7章 粂野の死
実弥だってわかっている。今のままじゃダメな事くらい。でも、立ち上がれないのだ。一人じゃ、無理だ。
実「、、、わりぃ」
実弥は楓をかき抱いた。楓は驚いたが、ゆっくりと実弥の頭を手を回す。
楓「辛かったね。苦しかったね。でも、実弥くんは一人じゃない。一人じゃ出来ないことも、ある。でも、そういうことでも、誰か一緒なら出来たりするんだよ。
頼りないだろうけどさ。同期なんだもん。少し頼ってよ。」
実弥の肩が小刻みに震えている。押し殺した嗚咽も聞こえてくる。彼は一人でどれだけの後悔や罪悪感と戦っていたのだろうか。
楓「実弥くんはおはぎ好きだよね。後は何が好き?何か食べたい物作ってあげるよ。あ、部屋勝手に片付けちゃった。あまりに酒臭くて。もうしばらくお酒はダメだよ?」
楓は、実弥の背を撫でながら、そんな世間話のような話しを続けた。