第7章 粂野の死
楓は走っていた。物凄い勢いで走っていた。
楓「実弥くん?いるんでしょ?入るよ?」
楓は返事を待たずに実弥の家の戸を開けた。家の中は恐ろしい程に静まり返っている。
楓「、、、実弥くん?」
楓は足音を立てないように、静かに家の中を進む。奥の部屋の襖を開けると、ぐしゃぐしゃの布団と、包帯だらけの腕が見えた。なぜか酒臭い。
楓「実弥くん?生きてる?」
楓は部屋に入ると、襖を閉めた。そっとぐしゃぐしゃの布団に近づく。布団には実弥が横たわっていた。どうやら今は寝ているようだ。布団の横に酒瓶が転がっている。楓はそれを見て、泣きそうになる。
楓「気持ちはわかるよ、実弥くん。でも、こんなんじゃダメだよ。」
粂野匡近が死んだ
それも実弥との任務中に亡くなったらしい。楓はその報告を聞いて、実弥の心配をした。見た目はあぁだか、彼は優しい人だ。兄弟子である粂野が目の前で亡くなって、正気でいられるのか。楓は自分の任務が終わると、そのままここへ来た。蝶屋敷にいると思ったら、勝手に家に帰ったらしい。処置も応急処置程度で、蝶屋敷のみんなも心配していた。