第5章 3人で任務
楓「きゃっ。」
四方から木の枝が伸びてきて、楓の左右の手足に器用に絡みついた。
実「、、、大丈夫かァ?」
実弥が素早く楓を拘束した木の枝を切る。
楓「大丈夫。ありがと。」
楓と実弥はまた拘束しようと迫ってきていた木の枝を切り、飛び上がる。
楓「陸ノ型、黒風烟嵐」
実「漆ノ型、勁風・天狗風」
楓と実弥が、それぞれ別の方向に技を放つ。戦っていた頂上付近の木がずいぶん倒れた。
鬼「ずいぶん派手に切ってくれたね。僕の大事な武器なのに。」
この鬼は木の枝を操る能力があった。しかしそれは土から生えている木だけだった。倒れた木では鬼の能力では操れない。だからこの鬼は山の中にいた。山の中ならいくらでも木があった。
実「そろそろお手上げかァ、この下衆が。」
鬼「まだまだだよ。」
鬼が、立ってる木の幹に腕を突っ込んだ。
地面が揺れたかと思った瞬間、地面から数百本の木の枝が、槍のように伸びてきた。
楓「うっ。」
慌てて木の上に避難した三人だが、楓の様子がおかしい。見ると、左の太ももの辺りがざっくり切れて、出血していた。
粂「楓ちゃん、大丈夫?」
楓はハンカチを取り出すと素早く足に巻いた。
楓「私は大丈夫。二人とも鬼に集中して。」
思ったよりも深く切れたらしい。ハンカチでは血が止まらない。