第5章 3人で任務
三人は静かに山の中を進んで行く。禍々しい空気は、より一層禍々しさを増し、空気が重く感じる。後ろからカサカサと音がした。楓が振り返るが何もいない。
粂「大丈夫?何かあった?」
楓は何もないと首を横に振る。三人は前を向いて歩を進める。
カサカサカサカサッ
何かが向かってくる気配がして、楓は刀を抜いた。切った感触はどうも木の枝のようだ。
粂「囲まれてるね。」
粂野が足を止めて、刀を抜いた。何かがじわじわと三人の周りを囲んで迫ってきている。
ガサガサガサガサッ
三人に向かって無数の木の枝が伸びてきた。十本、二十本どころではない。切っても切っても伸びてきて、埒が明かない。
粂「キリが無いね。」
実「だーーーっ、面倒くせぇ」
楓「鬼は頂上の方だよね?」
粂「だと思うよ。」
楓「二人とも、どいてっ。」
楓が刀を振りかぶる。
楓「弐ノ型、爪々・科戸風。」
楓の攻撃で、木の枝が広範囲に切り取られた。道が出来る。三人は素早くそこを抜けると、山の頂上に向かって駆けていく。
粂「ありがとう、楓ちゃん。
今までの隊員はあれに捕まっちゃったのかな?」
粂野は先程の木の枝を思い出す。動きの遅い者や戦闘経験の少ない者は先程囲まれた木の枝によって鬼に捕まったのだろう。