第4章 粂野匡近
「あ〜、美味しかった。」
「本当、美味しかったね。来て良かった。」
楓と粂野がニコニコとお腹に手を当てている。二人共、普段と違うメンバーがいてちょっとテンションが高かったらしく、いつもよりも食べていた。
「実弥君もちゃんと食べた?」
「そうだぞ、たくさん食べないと強くなれないぞ。」
やっぱり二人は同じタイプのようだ。実弥は心の中でため息をついた。
「あ〜、その顔。めんどくさい、って思ったでしょ?」
「実弥、あんまり怖い顔するなよ。せっかくこんな可愛い同期の女の子がいるのに。」
「きゃ〜、粂野さん、今、可愛い、って言ってくれました?実弥君は、冗談でも可愛いなんて言ってくれないから。」
「え〜、楓ちゃん、可愛いと思うけどな。」
「嬉しい〜。鬼殺隊やってるとそんなことも言われないから。もうここは私が奢ります。」
「イヤ、それはダメ。可愛い女の子にお金は出させないよ。」
「きゃ〜、粂野さん、素敵〜。」
結局、本当に楓にはお金を出させずに、男二人で代金を払い、食堂を出た。