第3章 鬼との遭遇
「風の呼吸、壱ノ型、塵旋風・削ぎ」
自分の正面に向かって技を打つ。これで少し走りやすい。
技を打たれて驚いたのか、女の子の鬼がこちらを向いて立ち止まった。楓も追いついた。
「、、、お姉ちゃん、いじめるの?」
女の子の顔で、女の子の声で囁く。
「怖いよう。止めてよう。」
女の子が泣き出す。楓はどうしても体が動かせない。
「、、、お姉ちゃんがいじめるなら、、、」
女の子が目の前でどんどん大きくなっていく。
「、、、ワタシダッテ、ツヨインダカラ」
楓の倍になろうかと言う鬼は、楓に向かって腕を振り上げた。
「風の呼吸、漆ノ型、頸風・天狗風」
鬼の後ろから爆風が起こる。
「おい、大丈夫か?」
楓と鬼の間に実弥が立っていた。
「、、、ごめん、大丈夫。鬼の血気術で、ちょっと動けなくなってた。」
どうやら鬼は泣き声で人を操っていたようだ。楓は動きたくても動けなかったのだ。実弥の技で鬼の血気術が解けたらしい。