第3章 鬼との遭遇
その日の夜、また二手に分かれて見回りをしていた。
何かを感じて、楓は立ち止まる。
(泣き声?)
耳を澄ませると子供の泣き声が聞こえる。それも山の方からだ。楓は泣き声の方に進んでいく。少し進むと、小さな人影が見えた。どうやらうずくまって泣いているようだ。
「どうしたの?迷子?」
なるべく優しく声をかける。小さな人影がこちらを向いた。七つ程の女の子のようだ。
「おうち、わからないの」
女の子が小さい声で楓に言った。
「村はこっちよ。一緒に行きましょう。」
楓が女の子の方に手を伸ばした瞬間、女の子はものすごい勢いで楓に飛びかかった。
「そんなことだと思ったわ。」
抜かれた楓の日輪刀には女の子が噛み付いている。
「迷子のふりして近づいて来た人たちを食べてたのね。」
女の子が唸り声を上げながら後ろに飛んだ。どうやらいつもと勝手が違うことに気づいたようだ。
女の子の鬼は、後ろを向くと走り出した。逃げ出したようだ。楓も後を追う。しかし、女の子の鬼は、山の険しい方険しい方へ向かっていく。楓も走るが、どうしても足場が悪く、速度が出ない。