第2章 --新たな人生って楽しいですね--
首元を指先で撫でられ気持ち良さに自然と喉が鳴ってしまう。
それに気付いた沖矢さんがフッと笑った。
「ここ、気持ち良いんだな」
エロティシズム全開やないですかぁあああ!!
「ホー…これは中々…」
『ニャ…?ニャッ!(なに…?わっ!)』
自分の体を見ると、泥まみれで真っ黒だったのが今はクリーム色とホワイトが交ざった毛色だ。
それから丁寧に泡を流して水気を取ってくれる。
脱衣所でタオルドライを念入りにやるとドライヤーを取り出し、温風で体を乾かし始めた。
まるで髪の毛を乾かしてもらっている気分だ。あの沖矢さんに乾かしてもらえるだなんて…うっ、心臓が……!
「驚いたな…ドライヤーも平気なのか」
『ニャー(大丈夫ですよ!)』
なんかもう自分が猫なんだと思ったら恥ずかしくなくなってきたな……。
え、もう思う存分甘えちゃって良い??
沖矢さんの膝の上からお腹の方へと体を擦り寄せていく。
『ニャー…(あぁああ……沖矢さんの腹筋……)』
「フッ…甘えん坊さんだな」
はぁあああああん!!?
死ぬほど耳が幸せな私はこれからどうなってしまうんでしょうか?
────────…
完全に乾かしてもらった後、人間用のクシで毛並みを整えてもらっている。
「やはり猫用シャンプーではないから少しごわついているな」
『ニャー(でも幸せです!!)』
「………買ってくるか」
マジですか!野良犬に助けてもらって体も綺麗にしてもらったのにごわついているからって猫用シャンプー買ってまた洗ってくれるんですか!まだこの家に居させてもらえる私は身も心も震えるような喜びでいっぱいです!!
沖矢さんは私を抱き上げるとそのまま身支度を始めた。
一緒に連れて行ってくれるのかな…と思ったら着いた先は隣の阿笠邸だった。
「急なお願いですみません」
「いや、良いんじゃよ。哀君も帰ってきておるし、遊んでくれるじゃろ」
『ニャー(阿笠博士だー!)』
阿笠博士にバトンタッチされ、沖矢さんとはまた違った心地に私は目を輝かせる。
柔らかいお腹だ……。