第2章 --新たな人生って楽しいですね--
「それにしても人懐っこいのぉ…野良なんじゃろ?」
「えぇ、家の前で野良犬に囲まれていたところを保護したんです」
『ニャー!(ありがとうございます!)』
沖矢さんに頭だけ向けると私はありがとう、と一言…いや一鳴きしてみせた。
「はっはっは!まるでお礼を言っているみたいじゃのぉ」
「そうですね。この猫は何だか不思議な感じがします」
沖矢さんが出て行った後、入れ替わるように哀ちゃんが奥の部屋から出てきた。
哀ちゃんだ……本物……めっちゃ可愛いいい!!
博士の手から哀ちゃんの手に渡ると、私は匂いを嗅ぐと共に頭を胸元に擦り付ける。
その間もずっとゴロゴロ、ゴロゴロと五月蝿いくらいに喉が鳴っていた。
仕方ない。コナンのキャラに会えてめちゃくちゃ嬉しいんだ。
というか、沖矢さんと博士の時も思ったけどそれぞれ違う匂いがするんだなぁ…。
犬も猫も人間より嗅覚や聴覚が優れているからどこでも皆を見つけられそう。
「本当に人懐っこいのね。首輪は付いてないけど本当に野良なの?」
「色んな人から餌をもらっていたんじゃないのかのぉ」
「それにしても綺麗な瞳と毛色ね…足が短いって事はマンチカンぽいけど」
マジマジと哀ちゃんに体を見られ、少し恥ずかしさが戻った。
「大きさからして1歳にも満たないくらいかのぉ?」
「そうね…まぁ詳しくは獣医さんに診てもらわないと分からないわね」
哀ちゃんとソファーに座り、沖矢さんが帰ってくるまで暫く撫でられていた。
────────…
「まずはご飯にしようか」
『ニャー(いや、それよりも…)』
色々買い過ぎじゃないっすかね沖矢さん。
ご飯はもちろん、ゲージや爪研ぎ、玩具など色々買ってきてくれていた。
ゲージはそこら中引っ掻き回されない為なんだろうけど…いや私猫だけど人間の時の記憶あるからやらないよ!?
てか爪研ぎとか玩具って!爪研ぎなんか絶対やらないよ!
玩具は……沖矢さんが猫と戯れてる図が見たいからやりたい!!
「ほら、どうぞ」
………私キャットフードなんて食べれるのかしら。
1口………うぅ、ん……おぉん………。
何とも言えないお味だった。
前は人間だったから人間の味覚が残ってるのかな。
「おや。お気に召しませんでしたか?」
『…ニャー(…ごめんなさい。あまり)』
お魚だったら食べれるかな。
