第5章 勉 強 会 と 夏 空
頭を使いすぎ、再び撃沈した灰羽で遊ぶ黒尾さんと、ゲームを始めた孤爪を置いて、トイレに行こうと俺も階段を下りる。用を足してリビングへ向かうと、そこにはエプロン姿でスマホとにらめっこする柏木さん。
「何か手伝うことありますか」
『わっ、京治か、びっくりした...』
晩ご飯のメニューどうしようかと思って、とスマホでレシピを調べる柏木さん。よく食う男2人がいる上に、好みもそれぞれだから、みんなが満足する物を作るのは難しい。
「暑いし、量もいりますし、
素麺とかでいいんじゃないですか」
『わ、それだ!まじ天才!』
ちょうど未開封の8人分あるや〜と戸棚を開ける柏木さん。‘ちょうど’8人分ってなんだろうな、俺たち5人なんだけど。
「じゃあ、俺ひたすら麺茹でるんで、
柏木さん他に何か作るものあればどうぞ」
『京治ありがとう助かる〜!』
お湯が沸くのを待っている間、柏木さんを眺める。冷蔵庫からキャベツを取り出すと、手際よく刻んでいって、それを電子レンジにかける。大きめのボウルにキャベツを入れ、ほぐした豆腐に海苔をかけ、ごま油とポン酢で和えたら。
『なんちゃってチョレギサラダ〜!』
「美味しそうにできてますね」
『京治さ、人参千切りにしてくれない?』
「お易い御用です」
そう言うと柏木さんは冷蔵庫からモヤシと、戸棚からツナの缶詰を取り出した。それから俺の切った人参、それからモヤシを電子レンジで火を通し、ツナとマヨネーズで味を整えれば。
「モヤシと人参のツナマヨ和え、ですね」
『お野菜大事、タンパク質も大事!』
今日はVIPなバレーボーラーの皆さんがいますからね、と笑う柏木さん。黒尾さんはともかく、残り3人は現役だから、こういう栄養を考えてくれるのは助かる。
足りない分は魚肉ソーセージとサラダチキン勝手にかじってもらうね、と冷蔵庫を指さす。さすがに何品も副菜作るの大変だろうし。ちょうどお湯が沸いたところで、そうめんを茹で出す。
『じゃあわたしみんな呼んでくる』
お鍋よろしくね、と階段を駆け上がっていく音。なんか、新婚みたいだなと思いながら、くるくると腹の虫が鳴るお腹をなだめ、スマホのタイマーをかけた。