第4章 初 体 験(♡♡)
リエーフと迎える、2回目の朝。初めての時と違うのは、ずくんと甘く疼く、後遺症。
そろりと枕元のスマホに手を伸ばせば、午前7時過ぎ、そろそろ準備をして、なるべく早く病院に連れていかないと。
『リエーフ、起きて、朝だよ』
「ん…悠里がいる……かわいい…」
ふにゃふにゃと芯の無い声で言う姿は、なんだかとっても可愛くて、でも甘やかしてはいけない。ぺちぺちと頬を叩き、布団から抜け出せば、リエーフものそのそとついてくる。
ソファに座らせて、足の様子を見れば、青く腫れているものの、昨日のアイシングが効いたのか思ったより酷くなってはいなさそうだった。
『痛みは、どう?』
「じんじんずきずきします」
これは病院だね、と言えばしょげる背中。
着替えてソファで待っててもらっている間に朝ご飯を作る。冷蔵庫にあった卵とベーコンと、冷凍のほうれん草。3人前作る気持ちで、食材は多めに。フライパンに油を引いて、炒めていく。
それから玉ねぎをみじん切りにして、昨日の夜炊いてくれたであろうご飯と一緒に、卵たちとは別のフライパンへぶち込む。そこにケチャップと塩コショウをかけて、沸かしたお湯で即席コーンスープを作る。
『おなかいっぱいになるか分からないけど、
朝ご飯できたよ』
ほうれん草とベーコンの卵炒めに、ケチャップライス、それからスープ。いい匂いにぎゅる、とリエーフのお腹が鳴る。いただきますをすれば、ばくばくと食べる姿は、腹ぺこの犬みたいで。
「悠里のご飯、美味すぎる、
だからいつか俺のお嫁さんになってね」
『だから、の使い方違うと思うんだけど』
「いいの!悠里は俺の!」
はいはいと流せば、俺本気なんですからねと憤慨するリエーフ。笑顔が戻って、良かった。ほんとに良かった。
昨日までの鬱々とした天気と違って、カーテンからは早くも夏らしい日差しが差し込んでいる。梅雨のど真ん中に、こんな晴れ間が覗くなんて、嬉しいことだ。
それからリエーフを病院まで送って、ご両親に引渡し、わたしは大学へと向かった。足取りは、すごく軽くて、今なら空も飛べるんじゃないかな、なんて思った。