第4章 初 体 験(♡♡)
そっからは、滝かと思った。
「俺、お、れっ 、もっと、だだがいだがった」
『うん』
「あ、あん、な、っこと、なるって、
思わな、ぐって、ちょっと、飛ぶ、っのが、
ず、ずれ、ずれてっ、それで、ぐにゃ、って」
『そうだね、痛かったね』
「なん、なんで、お、俺、俺だっだんだよお…」
『悔しいよね、そうだよね』
わんわんと大声を上げて泣くリエーフ。胸に抱き寄せ、よしよしと頭を撫でてやる。泣いて泣いて、空っぽになるまで泣いて、悔しかったこと、理不尽に怒ったこと、痛みよりもコートに立ちたかったこと、最後の挨拶までコートに居られなかったこと、全部吐き出して。
そうして、少しづつ、呼吸が落ち着いて。しゃくり上げていた肩も、その回数が少しづつ減って。背中をとんとんと叩いてやれば、ぎゅっと腰に腕が回る。
ほのかに香る柔軟剤と汗と、右足の湿布からメントール。
『落ち着いたかな』
「っ、はい、ずびばぜん」
いいよいいよ鼻かみなとティッシュを渡す。泣き腫らしためは真っ赤になっていて、ほっぺたも、鼻の頭も、チークをしたみたいに朱が差している。
『お風呂、入るかい?』
「シャワー、一緒がいいです」
『……わたしはTシャツ短パン着るけど』
「それでも、いいです」
ひとりになりたくないです。
そう、リエーフはぽつりと言う。そうか、わたしの番が来たのか。よちよちにゃんにゃんわんわんタイムが来たのか。それなら思う存分、甘えさせてあげないと。
一緒に行こうと手を引いて、お風呂場に連れていく。先にシャワーを出しておいて浴室を温め、すぐに座れるようにシャワー用の椅子を用意しておく。先にリエーフの脱ぐのを手伝い──なるべく下の方を見ないようにして──お風呂場に押し込んでから、わたしもいそいそとTシャツ短パンに着替える。
悠里〜と寂しそうな声が湯気の向こうからするから、今入るねと返事をして浴室のドアを開けた。
『リエーフは座ったまま動かないでね、
先に頭流すから目つむっておける?』
「うん、悠里とシャンプーおそろい?」
ちょっと嬉しそうにリエーフが言うから、わたしも釣られてそうだよって言う声のトーンが少し上がった。