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大人になれないわたしたち《ハイキュー!!》

第4章  初 体 験(♡♡)



いやでもさすがに怪我人連れてくる訳には、と言うのを踏みとどまる。そんなことは、怪我をしているリエーフは百も承知だろう、それでも会いたいと言っているのだから。


『リエーフさ、どんくらいかかる?』


「えっと、駅まで10分とかですけど…」


『後でわたしが払うから、駅までタクシー使って
 うちの最寄りまではお迎えに行くから』


「いやいやいや、そんな…」


『会いたいなら、そうしてほしいな』


「ッ、ハイ…」


お風呂がまだなら着替えだけ持ってくること、電車に乗ったら連絡が欲しいことを伝え、一旦電話を切る。


大慌てで自室に戻れば、朝どれを着るか悩みまくった服が散乱している。とりあえずクローゼットにぶち込む。それからベッド周り、変なもの落ちてないよね、大丈夫だよね。


てかそもそも階段上れないかもしれないよね、じゃあ客間に布団しかなきゃダメじゃん急げ急げ。今度は階段を駆け下りて和室のドアを開ける。布団をひとつ、いやはみ出るかな、ふたつにしよう。とりあえず敷布団にシーツだけ用意した。


あっ、そういえばゴム持ってないな、いやでもしないか、今日はさすがに。あの子怪我人だし、うん、使わないな、要らんだろ。


なんとか片付いたところで電車に乗ったとスマホにコール。じっとりとまとわりつく湿度を振り払って、わたしは駅へと走った。


『こっちまでこさせてごめんね』


「いえ、俺がわがまま言ったんで…」


小ぶりのトートバッグだけを持ち、足をひょこひょこ庇いながら歩くリエーフに、肩使っていいよと言うと、右手を置いて踏ん張る台にされた。違う、そうじゃないんだ。わたしは、肩を貸したかったんだ。高さ足りないか、そうか。


コンビニで何か買うか提案すると、甘いものとしょっぱいものと炭酸をリクエストされたので、外で待っててもらって美味しそうなのを適当にセレクトした。


『うち、ちょうど今日両親いなくて良かった』


どうぞ上がってと案内すれば、悠里の匂いとか言い出した。なんだ、案外元気そう。リビングへ手を引いて、負荷のかからないようにソファに座ってもらう。


『まずは、インハイ予選、頑張りました』


悔しかったねと、頭を撫でれば。端正な顔がくしゃり、と。歪んだ。


 
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