第3章 春 風 と 合 宿(♡)
合宿4日目、この日は5月にしては暑いくらいで、昼には最高気温は25℃を上回る夏日になっていた。慣れない暑さは怖いということで、今日のお昼休憩はいつもより長めに午後2時までとることになった。
『ねぇ黒尾、うちらでなんか差し入れしない?』
「この人数分か?少なく見積もって50人ぐらいだぜ」
『いいじゃん、みんなで割り勘しようよ』
木葉、木兎、黒尾、夜久、そしてわたし。5人いれば、ひとり1000円でアイスぐらい買ってこれるでしょ。合宿の取りまとめをしている梟谷の夜中監督に許可を貰い、黒尾と夜久を引き連れて近くのスーパーへと向かう。
『やっぱさ、こういうサポートができるのもさ、
OBOGの特権だと思うわけよね〜』
合宿の差し入れってめちゃくちゃ嬉しいし、と足取りは軽い。冷房の効いたスーパーの中でも、とりわけひんやりしているアイスコーナー。みんなが食べられるようにフルーツのアイスバーを余裕を持って6箱選び、わたしは自分用にとこっそりハーゲンダッツを入れた。あと買い出しのお礼に、2人にもガリガリ君買ってあげよう。
ついでにと無くなりそうだったスポドリの粉も買って、あ、テーピング無くなりそうだったな、白いのと伸縮タイプ買っておくか、それからアンダーラップの予備も買って、と。
そうこうしているうちに荷物はどんどん増え、それらは全部黒尾と夜久に取り上げられた。
「さっさと帰ろうぜ〜」
「俺と黒尾で持つから、柏木は手ぶらでいいぞ」
『ありがとう荷物持ちズ!』
それはさすがにダサくね、と黒尾、いやダサくないから。買い出しのご褒美にと渡したガリガリのアイスをかじる2人、少し暑いくらいの日差しの中をゆっくりと歩く。
合宿ももう終盤、烏野は翌日の学校に備えて最終日の昼頃にここを発つそうだ。次に仁花ちゃんに会えるのいつかな、夏休みかな、でもその前に土日があるか、いやさすがに部活来すぎだしそもそもバイトあるしな、あ〜でも潔子ちゃんも来てくれないかな。
高校に戻ったらそのまま食堂に直帰し、冷凍庫の中にアイスをどんどんしまっていく。みんなに食べられないように、1つの箱に‘マネ専用’と書いて、2人にお礼を言った。