第3章 春 風 と 合 宿(♡)
ちょうど仕出し屋さんが来たので、夕飯の食缶をお返しして新しく朝ごはんのを受け取る。特大炊飯器やら特大鍋はけっこう重たいから、京治が来てくれて助かったかもしれない。
2人でえっちらおっちら運び、ちらほらと人が入り始めたのでよそって手渡していく。京治がやっていることに気がついた梟谷の1年生が血相を変えて飛び込んできて、赤葦さんすみません俺たちがやりますお願いします監督に殺されますと捲したてる。
さすがにあの方殺すまでしないと思うけどな、という言葉は飲み込んで、こちらを伺う京治に変わってあげなよと目配せ。じゃあよろしく、と言うと京治は、木兎さんたち呼んできますと食堂を後にした。
リエーフまだかな、なんて思っていたら、音駒全員がまとまってご来店、日向くんの横に座ったリエーフの横に、こっそり座る。
『おはよう、リエーフ』
「はっ、悠里センパイ、おはようございます!」
俺途中なのに昨日寝ちゃってすみませんでした、と申し訳なさそうにするから、今日も頑張ってねと頭を撫でる。シルバーの髪の毛、後頭部の寝癖がぴょいんと明後日の方を向いて跳ねていた。
こんなに近くにいるのにセンパイ不足です、としょげるリエーフに、帰ったらまたおでかけしようねと小指を差し出せば、元気いっぱいの指切りげんまん。
それから食べ終わったみんなを見送って、案の定片付けをしようとする京治を今度こそおっぱらう。マネちゃんたちで片付けを手分けして、人が引いた頃に食べ終われば、いつの間にか時刻は9時になっていた。
音駒の今日の初戦は烏野と。仁花ちゃんに後でよろしくね、と声をかけて、昨日の夜から干しっぱなしのビブスを取りに行く。と、もうそこにはなくて、もしかしてあの子たち取り込んでくれたのかな、とメインの体育館に向かう。
「悠里さんおはようございます、
昨日のビブス、回収しておきました!」
えーんやっぱり、なんて気が利く子たちなの。
『ありがとう、見に行ったらもうなくて、
もしかしたらと思ったんだけど、やっぱり』
昨日いなかった酢川くんにも共有してくれたそうで、今年の1年、まじ、優秀すぎると感激。それをじぃっと見つめてくる視線の主はリエーフで、なんもないよと苦笑いした。