第3章 春 風 と 合 宿(♡)
「なんでツッキーと話してたんスか!」
開口一番で文句を垂れるリエーフに、ちょっとね、と説明してあげる。それを横で聞いていた黒尾が、男の嫉妬は醜いですヨと茶化すから、ますますむくれる。余計なことしやがってバカ黒尾。
「俺もそのタオル使いたいです」
『あんた、自分のやつ首にかけてるじゃん』
「それがいいの!俺のは悠里センパイにあげる!」
むんずと人のタオルをもぎ取り、自分のをぺいっと頭に投げてくる。しゃーないなぁと苦笑いすれば、ちょっとは機嫌が良くなったのか、作戦会議を始めるリエーフ。
それからなんとか午前の試合を音駒は勝ち越して、昼休憩の時間になった。マネ陣は選手たちより先に食堂へ入り、仕出し屋さんが置いていった食缶を確認し、皿の用意をしていく。
食堂に席順などは特になく、好きな所へ早い者勝ちなので、各校のジャージとTシャツとが入り交じり、やがてがやがやと賑わっていく。
みんながだいたいひと通り食べ終わったあと、わたしたちも食べようかと配膳と食器洗いをしているマネちゃんたちに声をかけた。
『いっただっきまーす!』
「悠里センパイ!」
『む、ひえーふ。ふろおたちも、おほはっはへ』
「何となくわかるけど何言ってんだお前」
どうやら第3体育館で自主練をしていたらしい、黒尾、木兎たちがやってくる。もちろん、当たり前のようにリエーフはわたしの隣に陣取った。
黒尾、木兎、月島くん、赤葦、それに日向くんとリエーフは去年の夏合宿の時からよく集まって自主練をしていたから、そこがつるむのはまぁ自然かな。日向くんはさっき影山くんと来て爆速で帰っていったけど。
そう言えば、と食べながら赤葦が口を開く。
「柏木さんと灰羽、付き合ってるんですか?」
『さては黒尾お前言ったな』
「ちっげぇよ、リエーフが言いふらしてんの」
じと、と目線を向ければふいと逸らすリエーフ。別に広めるなとは言ってないが、まぁ後で説教だな。だって悠里センパイがモテるからぁとぶーたれるリエーフ。なんだか今日は膨れてばっかりだ。
『はいはい、チキンカツあげるから機嫌直してね』
「やった、ありがとうございます!」
チョロいな。