第3章 春 風 と 合 宿(♡)
そうして、バタバタと忙しなく4月は過ぎていき、いよいよ来週に控えたGWの合宿の予定表が配られた。昨年から遠征に再び仲間入りした烏野は、今回もこっちに来るらしい。
場所は梟谷高校、練習相手になる上に人手はいくらでも欲しいからと、各校で手の空いているOB・OGに声をかけるらしい。烏野の先輩たちは難しいかもしれないけど、梟谷の先輩たちとか、クロさん夜久さんは来て欲しいな。
「研磨さん、今回は俺も行けますよね!」
「宮城じゃないし、
ていうかそもそもスタメンでしょ」
1年前は悔しくも置いてけぼりを食らった。スタメン、という言葉にじーんと胸が熱くなる。そう、なんてったって俺は、音駒の大エースなんだからな。
ミーティング後、GWの合宿来ますか、と悠里に連絡すれば、何日かは来れそうとのこと。悠里は緑色のマークで同じみコーヒーチェーン店でのアルバイトを始め、シフトの加減で全日は難しいかったようだ。
クロさんと夜久さんも悠里に日を合わせて来るとの事、海さんはやはり難しいらしく、今回は見送るそうだ。
そして合宿への調整が進んでいく。ポジション合わせやサインの確認、新1年生をどこに組むかなどなど。2年生は必然的にお世話係になるが、灰羽さんリエーフさんとついてくる後輩は、ぴよぴよ鳴いてる子ガモみたいだった。
いよいよ合宿が始まるという前日、何人かで‘悠里先輩のバイト先に遊びに行こう’という話になった。
大学の最寄り駅のすぐ側にあるというそのお店は、テレワークや課題をやる人、本を読みながらコーヒーブレイクする人など色んな人がいた。みんなでメニューを眺め──そのカロリーにちょっとビビり──決まった人からレジに並ぶ。
『いらっしゃいませご注文お伺いしま…
って、リエーフじゃん!え、なんでここに!?』
「来ちゃいました」
僕たちもいますよ〜!と後ろでアピールする芝山、初めて悠里を見る1年生たちは興味津々といった様子だ。ちょっと照れながらぎこちなくマニュアル通りに接客する悠里は、やっぱりとっても可愛い。