第2章 両 想 い(♡)
ふくれ面で顔を洗い、ふくれ面でソファに座る。とん、とんと階段を下りる足音、パジャマ代わりのTシャツにパンツ姿のリエーフがひょっこり現れる。
『ちょ、な、なんでパンツなの!』
そりゃみんなが──主に山本とか黒尾とか──その辺で着替え出すから多少免疫があるとはいえ、さっきの今でその格好は。
「窮屈だから、朝はいつもこうなんです」
窮屈て、そんな理不尽な。
だから慣れてくださいね、と笑うと、リエーフはケトルのスイッチを入れる。朝ご飯作りましょうと呼ばれ、渋々キッチンへと足を向ける。
リエーフは粉末状のラテのスティックを2つ取り出すと、冷蔵庫から卵、ソーセージ、レタス、玉ねぎを手際よく取りだしていく。そして、悠里センパイ簡単なサラダ作ってくれませんか、とレタスと玉ねぎを手渡される。
ボウルにレタスをちぎり入れ、玉ねぎはスライスして少し電子レンジにかける。どうも玉ねぎは生っぽいのが苦手だ。
「ソーセージ何本食べますか?」
『2本!』
了解っす、とリエーフは返事。じゅわわと油の上に卵が落とされる音、ソーセージのそれから香ばしいいい匂い。朝はあんまり食べられない派だけど、そんなんじゃ骨みたいになっちゃいますと、小盛りのご飯を押し付けられる。
テーブルに並べればホカホカ朝ご飯の出来上がり。
「へへ、なんか同棲してるみたいスね!」
『はいはい、ほら冷めないうちに食べよ』
大盛りご飯に4本のソーセージと2つの目玉焼き、それにサラダを平らげていくリエーフ。朝からなんでこんなに食えるんだ。なんならご飯おかわりして、のりたまふりかけで食べだした。
末恐ろしや、男子高校生の食欲。
食後の片付けは全てリエーフがやってくれるらしいので、その間に夜のうちに干しておいた昨日着てた服に着替える。リビングに戻れば、リエーフはソファに座っており、ぽむぽむと横を叩いて呼んできた。
「悠里センパイ、
俺いっこお願いがあって」
『なぁに?』
「2人きりの時、名前呼び捨てにしたい、です」
なんて可愛らしい、お願い。きゅーんと心臓をつかまれながら、昨日も呼んでたことを伝えれば、無意識でしたと照れる。
そうして、わたしとリエーフはちゃんと好き同士になった。