第2章 両 想 い(♡)
翌朝。
いつもの朝練があった時間に意識が浮上してしまい、もう少し寝ようかなと寝返りを打つ。と、触れる、硬い胸板。目線をそろりと動かせば、すよすよと寝息を立てて爆睡をする整った顔がそこにあった。
『我が彼氏ながらイケメンだわ......』
朝から眼福、いい事ありそう。心の中でなむなむと手を合わせる。そうして程なく足がすーすーして寒いのに気付く。首だけで見れば、リエーフが蹴飛ばしたのだろうか、お腹から下にあるはずの布団は、ずるずると床に滑り落ちている。
二度寝を決め込むにも寒いのは勘弁と思い、ホールドする腕をはがして起き上がり、布団を直す。リエーフにもしっかりかかっているのを確認したその時、後ろから伸びてきた手に捕獲され、そのまま布団の中へとアゲイン。
『わっ、リエーフ起きてたの?』
「悠里、寒い......」
後ろから抱き締められればすっぽりと収まり良く、逃がさないとばかりに絡みつく足はぽっかぽかだ。こんな人間湯たんぽ、どこが寒いん。
まどろみの中へと帰っていくリエーフの鼻息が、髪が重力に流れてあらわになった首筋にふんふんとかかる。くすぐったいのとちょっと腕が重たくて苦しいのと落ち着かないのとで、もぞもぞと身動ぎ。
そしてリエーフの異変に気付く。
『り、リエーフ......?』
リエーフの体と密着している背後、その丁度仙骨あたりに感じる、ソレ。何かおかしいと思って腕から抜け出そうともぞもぞ動けば動くほど、そいつはむくむくと起き上がり硬さを増す。
わたしは知っている、これは朝の生理現象だ。急いで逃げなければ、なんだか嫌な予感がする。
「悠里センパイ、逃げないでください」
『ひゃ、りえーふ、起きて......っ!?』
「布団直すのに起きた時から、ずっと」
やられた。寝たふりだったか。しっかりとその存在を感じられるようになったソレを、リエーフはわざとらしくぐりぐりと押し付ける。
「悠里センパイが動くから、
俺、朝からこんなになっちゃった」
責任、とってくれません?
寝起きの掠れた声で、耳元で囁くのは反則で。リエーフの腕を引っぺがして階下へと逃げれば、朗らかな笑い声が降ってくるのだった。