第2章 両 想 い(♡)
新しい季節を告げる、
獅子のくちづけ。
部活頑張ってねと笑顔で手を振る彼女と駅のホームで別れ、その電車が見えなくなった頃、ふぅっと息を長く吐き出してしゃがみ込む。
我ながら、まっっっっっじでよく耐えたと思う。
1度目は罰ゲームでみんなの前でキスをしようとした時。2度目は夜同じ布団に入った時。そして3度目は、朝目覚めてすぐのこと。
正直もう、次同じことがあったら速攻襲う自信しかない。それでも頑張って我慢したのは、ひとえに悠里に嫌われたくないという思いから。
「くっそ、まじで可愛すぎるんだよな...」
独りごちながら電車に乗り込む。
恥ずかしそうな顔も、美味しそうな顔も、嬉しそうな顔も、全部がぜんぶ特大に可愛くて。それにやっと向こうも好きって言ってくれたし、ちゅーもしちゃったし。なんなら同じ布団で一夜過ごしたし、何も無かったけど。
これはもう、進展以外の何物でもない。
ガタンゴトンという規則正しい音は、考え事をするのにちょうど良い。が、今日ばかりは余計な煩悩まであれこれ思い出したり先のことを想像してしまって。
むくり、と、股間が頭をもたげる。
やばいやばいこれから部活なのに、と頭の中をバレーボールに切り替え、落ち着けと念じると、タイミングよく同じ車両に犬岡と芝山が乗り込んでくる。おはようと声をかけ、今日の部活のメニューについてあれこれ話せば、いつしか高校の最寄りへと着いているのだった。
第2章 終