第2章 両 想 い(♡)
そうして、満足したのか、ちゅぱっと音を立ててリエーフの唇は離れていった。名残惜しそうにふたりの間を銀の糸がつぅと引く。こんなの、ちょっとえっちな少女漫画みたい、だけど本当にあるんだ。
『りえ、ふ......』
「センパイがえろくて可愛いのが悪いんです」
まじで大好きです、と、ぎゅううと抱きしめられる。胸に耳を当てれば、どくんどくんとダイレクトに響く心地よい心音が、とけた体に程よい眠気を誘う。
『わたし、眠くなってきちゃった......』
「あ......ごめんなさい、俺がっついちゃって」
引きましたか、と不安そうな声が聞こえたから、ううんと首を横に振った。良かった、と安心て、今度はわたしを布団の中に誘う。リエーフが枕元のリモコンをピ、ピ、といじると、部屋の中は真っ暗になった。
結局同じベッドで寝るんじゃないか、と思いながらも睡魔と温もりには勝てず、もそもそと腕の中で動きながら就寝体勢を整える。さらさらと、後頭部をリエーフの手が撫でる。髪綺麗ですねと、優しそうに言うもんだから、あぁ、愛しいな、なんて、思ったりして。
『ねぇ、りえーふ、ありがとう』
「何がですか?」
『わたしのこと好きになってくれて、あと、』
いっぱいきすしてくれて。
ピタ、と、髪を撫でていたリエーフの手が止まった。何か変なこと言っただろうか、と、リエーフの名前を再び呼ぶ。
「センパイは、俺がいま耐えてるの知らないんですか」
『何を、?』
「俺、これでもめっちゃ我慢してるんです、
キスしてる時の悠里可愛すぎだし、
もうそのまま押し倒そうかなって思ったし」
ナチュラルに名前を呼び捨てにされて、不覚にもちょっとときめく。
「今だって俺、こんなこと言いたくないですけど、
何とは言わないですけど、ガッチガチで」
『え、あ......そ、う、だよね...』
「好きな子が、腕の中にいるんで」
欲と全力で戦ってます、とおどけて言うリエーフ。けど今日はキスだけで十分です、続きはまた今度にしましょう、悠里も眠そうだから。
そう言って、リエーフはまた私の髪を撫でて。
あったかくて、ふわふわして、ありがとうと言ったつもりで、それが言葉になっていたか分からないまま、静かに、意識を手放した。