第2章 両 想 い(♡)
2階に昇って右手、リエーフの部屋の扉にはLEVと掘られた木製のプレートがかかっていた。おじゃまします、と小さく呟いて戸を開ける。少しひんやりとした空気、電気をつけると、そこはカーテンや掛け布団の緑を基調にした部屋で、ところどころ散らかっていた。
机の上にはやりかけの数学のワークと注目選手のページが開かれたままの月刊バリボー。それから壁にかかったコルクボードには、いつの間に撮って印刷したのか、部活ジャージの私の写真が1枚と、付き合って初めてのツーショットが1枚。
『わたしのこと、大好きじゃんか...』
そう呟いて、ベッドに腰かける。特注なのだろうか、わたしのと比べて縦にも横にも大きい。枕元に置いてあった読みかけの漫画を何となく開く。全然内容入ってこない。
やっぱり漫画は閉じよう、そうだ忘れてた、うちの親にも連絡しないと。スマホを開いて泊まる旨を──まずそもそも彼氏のことすら伝えてないから奏深の名前を借りて──連絡する。スマホの画面を消す。あぁ、そわそわして、落ち着かない。
そうしているうちに、ドタドタと騒がしく階段を昇ってくる音。ガチャっと勢いよくドアが開き、髪から水滴を飛ばしてリエーフが駆け込んでくる。
「悠里センパイお待たせしました!
待って俺のベッドの上にいる可愛すぎます!」
『分かったから、髪ちゃんと拭いて!』
抱きついてくるのをかわし、首にかけたタオルをもぎ取って、わしわしと髪を拭く。こういうところは本当に大型犬にしか見えない。
『リエーフの髪、サラッサラだね』
この色好きだなぁ〜と言いながら満遍なく拭いていると、少し照れた顔のリエーフがタオルから覗く。
「俺も、悠里センパイの髪好きですよ
下ろしてるのも結んでるのも好きです」
ありがとー、どーいたしましてー、と笑いながらタオルを返すと、イスの背もたれにタオルをかけ、リエーフはそのまま隣に座る。
「悠里センパイ、
お昼の続き、聞かせてください」
『覚えてたの......』
もちろんですと笑うリエーフ。その手を取り、期待している顔を見つめ、意を決して口を開く。
『ちゃんと好き、
リエーフのこと大好き、です』