第2章 両 想 い(♡)
炭酸が苦手な人でも大丈夫なように、お茶のボトルと、コーラ、サイダーのボトル、2リットルをそれぞれ1つずつ手に取り、ちょっとお菓子も買い足してレジへと向かう。
ものの数分で買い物は終わり、ティロリロという退店音に見送られ、さぁ帰ろうかと言うところ。リエーフが行きと同様に当たり前のように手を握ってくる。さすがにそろそろ慣れてきたけど。
「あーあ、帰るのやだなぁ」
リエーフがボヤく。
『なんで?ピザなくなるよ?』
「だって、帰っちゃったら悠里センパイと
イチャイチャできないし、早くちゅーしたいのに」
『そういうのは、さすがに、
みんながいない所がいいんだけど...』
「ダメです!俺のだって見せ付けないと」
研磨さんだってちゃっかり隣にいるし侮れないんスよね、あとクロさんは絶対悠里センパイのこと気になってるし、好きかは知らないけど他のみんなも絶対好感度高いし。
早口にそう捲したてるリエーフの目は、嫉妬にめらめらと燃えていて。青いなぁと思いつつも、そうやって口にしてくれることを嬉しく思っている自分も少なからずいた。
角を曲がればリエーフの家。電信柱の下で、歩を止めてリエーフの手を引く。じぃっと顔を見つめると、リエーフは不思議そうな顔。
『リエーフ、かがんで?』
「はいっ、なんか顔についてます?」
どうぞ、と身をかがめるリエーフ。ブルゾンの襟元に手を伸ばし、ぐいっと引く。だってもう、今しか、無いでしょ。
唇と、くちびるが、近づいて、触れ合う。距離、ゼロセンチ。
「ン───ッ!?」
自分からするのが恥ずかしくて思わず目をつぶった。でもそれは、視覚情報がなくなることで、かえって感触を鮮明に感じるだけだと気づいたのは、唇が離れた後だった。
長いシルバーのまつ毛に縁取られた目が、見開かれていて。少しだけ開いたままの唇は、しっとりと艶めいている。あぁ、なんて色っぽいんだろう。
「悠里、センパイ......」
『こういうのは、2人きりで、したかった、から...』
そう、ごにょごにょと言うと、まじで可愛すぎるんですけどと特大のハグをくれた。あぁ、もう。この人が、たまらなく好きだ。