第2章 両 想 い(♡)
ちょうどそのタイミングでインターホンが鳴り、とにかくリエーフから逃げようと思って、わたしが出ると叫ぶ。ドアを開けると、遅れてくると言っていた山本と芝山だった。
「遅れてすみません!」
「フォオ、悠里サン今日もお美しい...!」
『山本、芝山、いらっしゃい...って、
ここわたしの家じゃないんだけどね』
どうぞ、と案内し、リビングに向かう芝山の背中にそっと手を添える。困惑する芝山に目で訴える。頼む、助けてくれと。
リビングのドアを開けると案の定、ソファにはリエーフだけが座っていて、他のメンツはその近くに綺麗に並んで立っていた。まるで、わたしに隣に座れと言うかのように。ただひとり、孤爪だけが嫌そうな顔をしている。
「かーしーわーぎ、ほら、横空いてんぞ」
ニヤニヤと笑いながら黒尾が言う。山本も芝山も、状況が分からずキョトンとしている。やめてくれ、まじで。
『い、イヤデス』
「悠里せんぱぁい、約束したじゃないですかぁ」
ちゅーしてくださいよーと駄々っ子のようにぶーたれるリエーフ。ようやくどういうことか気づいた山本がエッと叫ぶ。
「ま、まさかリエーフお前、悠里さんと、
悠里さんと、つつつ、付き合って...!?」
「そうっス!」
ぐふううぅという鳴き声を残して山本が地に沈む。おどおどする芝山、頼む、耐えてくれ。先輩たちの圧に負けないでくれ。身長の暴力に勝ってくれ。
「芝山!お前もこっち来いよ」
『し、しばやま、ダメ...お願い、ほんとに......!』
「悠里さん.........っ、ごめんなさい!」
懇願叶わず、芝山は黒尾に回収された。盾、消えた。しぶしぶ空いているリエーフの隣へと座る。目の前にはワクワク顔のリエーフ、尻尾がついていたらはち切れんばかりに振り回していそう、大型犬的な。
仕方ない、罰ゲームとはいえ、ちょっとさすがに、このギャラリーの中でするのは忍びない。部内に禍根を残してはいけない、いやもう残ってるかもしれない、そうね、山本が死んだし...
こうなったらヤケだ。泣き落をかけるしかない。
『うぅ、い、今じゃないとダメ?』
そっとリエーフの服の裾を掴み、精一杯の上目遣い。