第7章 夏 休 み 合 宿 後 半 戦(♡)
スイカもあらかた無くなったところで、お開きの準備。これだけ人数がいるから、飲み食いしたものの後片付けも進みが早い。
「ペットボトルゴミ、分別こっちでーす!」
『紙皿、割り箸、紙コップ、全部もらうよ〜』
ゴミ袋を持ったマネージャーがプレイヤーたちから回収し、みんなには地面に落ちてるものを拾ってもらったり、大きいバーベキュー用のコンロを片付けてもらう。適材適所、ってやつだね。
そうして片付けを終えたら、体育館に戻って荷物のまとめ作業。あと1時間もしないうちに烏野はバスに乗って帰るだろう。わたしたちは地元勢として、合宿所の片付けと掃除までが担当だ。
『あ、いたいた仁花ちゃん』
「シャチ、おつかれさまです!」
撤収作業中の仁花ちゃんに声をかければ、がばっと下げる頭。ちょっとちょっと、と手招きをして、体育館の隅に連れていく。
『次の合宿とか、会えるかわかんないから
今のうちに渡しておきたいなって思ってて』
手渡したのは、ちょっと、いやかなり早い誕生日プレゼント。仁花ちゃんの誕生日は9月だけど、その時期私は忙しいだろうから、今回みたいに土日の遠征に顔を出せるか分からない。中々タイミングを見つけられなくて、最終日になっちゃったけど。
うりゅ、と仁花ちゃんの目に涙がじんわり。
「悠里さんに一生ついて行きます」
『喜んでもらえてよかった』
開けてみてよ、と促し、綺麗にラッピングされたそれを仁花ちゃんが解いていく。中から出てきたのは、コスメブランドのハンカチと、同じブランドのモノクロ柄のシュシュ。
「こっ、こここここんなに高価なものを...!?」
『じゃん、実はわたしもおそろいなんだ』
髪伸びてないからまだ結べないけどね、と手首にはめたそれを見せれば、うるんだ瞳からぽろりとこぼれる雫。
「私、っ、悠里さんに会えてよかった...!」
『もう、大袈裟なんだから〜!
仙台遊びに行ったら会ってくれる?』
「もちろんでずうぅぅぅぅう」
潔子ちゃんにも会いたいし、と言えば、ついには号泣してしまった仁花ちゃん。わたしにはマネージャーの後輩はできなかったけど、仁花ちゃんと仲良くさせてもらって、本当に幸せだな。
そう思いながら、金の頭を泣き止むまで撫でていた。