第7章 夏 休 み 合 宿 後 半 戦(♡)
お肉と野菜がいい感じになくなりつつある所で、マネちゃんたちを呼んで調理室へと向かう。今年もデザートに森然高校の父兄からスイカの差し入れがあって、それの準備を頼まれたからだ。
『みんなちゃんとお腹いっぱい食べれた?』
「1年生だと怖いよね、巨人の密林...」
『仁花ちゃん去年は洗礼受けてたもんね』
しっかりして見えるけど去年の3年生たちに一番びくびくしてたもんね、なんて言えば、そんなふうに見えないと後輩ちゃんたち。
みんなもいつかこんなふうにしっかりしたマネさんになるんだよ、なんて話しながら、ザックザックとスイカを切り分けていく。今年のスイカもギュッと詰まってて美味しそうだ。
大皿からこぼれそうな程のスイカを抱えて、みんなの元に戻れば、スイカに気付いた人から伝わるざわめき。
『はいはい、ちゅーもく!
今年も森然高校父兄さんからの差し入れです!』
「喧嘩しないで取りに来てくださいね〜」
バーベキューだけでは足りなかったらしい人たちがもれなく群れを成す。俺は両手で、いや俺は片手で2個ずつ持ってやるね、なんて張り合ってるのすら可愛い。後輩ってもれなくみんな可愛いの、なんでだろうね。
『はい、リエーフもスイカ食べるでしょ?』
「食います食います、アリガト!
悠里センパイも食べたいなぁ、なんて」
『みんなも食べたいだけとってね〜』
「柏木さんのスルースキルがすごい...」
「灰羽、どんどんオープンスケベになってるな...」
スイカを持ってしょげるリエーフに、ひそひそと犬岡と芝山が言葉を交わす。合宿が終わったら、1週間分のフラストレーション溜まってるだろうし、きっとものすごくひっつき虫みたいになるんだろうな、リエーフ。
種飛ばしをしている山本の横にいた1年たちにもスイカを配り、最後のひとつになったので、さっきの所にいる研磨と京治の隣に座ってスイカをかじる。
『ふはりほも、ふいははべは?』
「食べたよ、いっこずつ」
「孤爪、今のわかるの...?」
楽しそうにはしゃぐみんなを眺めて、あと何回来られるかなと考える。そのうち音駒にも新しいマネが入って、そうやって‘繋いで’いくんだろうな。そこにわたしはいなくても、繋がってるから。
どうか、今を楽しんで欲しいな、なんて、思って。