第7章 夏 休 み 合 宿 後 半 戦(♡)
「そうやって教えてくれたの、
やっぱり俺が色々言ったからですよね」
『あ、そう言えばそうだね
でもリエーフが嫌がることはしたくないなって』
それはわたしが自分で考えた意志だよ、なんて笑いながら言うから、ずるいなぁと思う。全部俺のせいにしてしまえばいいのに、なんで一緒に背負おうとするんだろう。
「めんどくさい彼氏ですね」
『え〜、なんでそうなるの
私が好きだからそうしたいのに』
未だに腕の中、リエーフのひねくれもの、おたんこなす、すかぽんたん、と訳の分からない悪口を飛ばしてくる悠里センパイ。
そろそろ離してよ、と少しだけ不機嫌の混じった声の悠里センパイ。目線を下ろせば、ちょうどつむじのあたりに、キスを落とす。ちょっと何してるの、と慌てた声が可愛くて、何度も何度も、その綺麗な色の髪に口付ける。
『もうリエーフ、ここ外なんだけど!』
「知ってます」
『見られたら恥ずかしいんだけど』
「それも、知ってます」
でも今こうやってたいって思ってしまったから。この、自分より遥かに小さくて、可愛らしい人を、とても愛おしいと思ったから。だからこうして、閉じ込めて、好きなようにしてる。
そろそろ体育館の中に入らなくちゃなのもわかってる、きっと先に着いた人が準備してるから。でも、もう少しだけ。
「充電中、です」
『もうとっくに100%でしょ』
「バレてました?」
『当ったり前、さ、練習しよ、練習!』
腕の力を緩めると、するりと抜け出す悠里センパイ。体育館の中に入り、柏木入りますお願いしまーすなんてふざけてる。俺も後に続けば、そこには夜の自主練習のいつものメンバー。
前回に引き続き、2対2のチーム戦。昼間の試合の時も感じていたことだけど、今日もねちねちブロック月島が冴えている。意外と闘争心剥き出しにしてくるタイプだったんだな、って、最近気付いた。
赤葦さんはあんまり何考えてるか分かんないけど、でも悠里センパイを見る目が時々すごい優しかったり、いかがわしいこと考えてるなって思う。
どっちにしろ、悠里センパイの彼氏は俺だ。
「うぉりゃッ!」
だから俺は、今日もコートを駆けるんだ。ここにいるよって、悠里センパイにアピールするみたいにね。