第6章 夏 休 み 合 宿 前 半 戦(♡)
それから、すぐにドラッグストアに着いて、みんなに頼まれた買い物と、わたしは自分用にナプキンと洗剤と鎮痛剤を買った。帰り道、さっきと同じ道だけど、少しだけ、張り詰めた気持ちは和らいでいた。
やっぱり黒尾とわたしのちょっと後ろを歩くリエーフに、くるりと振り向いて名前を呼ぶ。
『リエーフも、嫌な思いさせてごめんね』
「いえ、俺が、ただ勝手に勘違いして、
カッてなって、暴走しただけなんで...」
「おー分かってんじゃん」
『黒尾、傷口に塩塗らないの!』
しょげ、と背中を丸める姿は、さっきとはまるで別人だ。
『だからさ、仲直りしようか』
「なかなおり?」
『そ、右手貸して』
そろり、と差し出されたそれを握手するみたいに握る。
『はい、なっかなーおりっ!』
ぶんぶんぶんっ、と勢いよく腕を振り、何が起こったか分からない顔をするリエーフに笑いかける。きょとん、とするリエーフも、ナッカナーオリ、と腕を3回振った。
それから、綺麗な緑の目に優しさが戻るみたいに、へにゃりと笑った。
「もう、俺、悠里がいなかったら無理」
『ふふふ、機嫌直すの早過ぎない?』
「だってぇ〜!」
「あーあー痴話喧嘩うるさ、
クローサン可哀想だなー、あーあ!」
「クロさんもいつかカノジョできますよ」
「お前に言われるのが一番ムカつく!」
『更年期ですか、クローサン』
「やかまし!」
ピッチピチの18歳なんですけど、とわざとらしくクネクネする黒尾に、3人で声を上げて笑った。
宿舎に戻って、音駒のみんなのところへ買ったものを届けに行くと、みんなが口を揃えて‘仲直り出来てよかった’と笑った。
『お騒がせしてすみませんでした』
「俺も、フンイキ悪くしてごめんなさい!」
「リエーフも、悠里も、よかった」
『こづめええぇぇぇ、ごめんぬぇええぇぇ』
お詫びのアップルパイクッキーです、と土下座をすれば、よしよしと頭を撫でられた。
合宿も明日で折り返し、もうトラブルは起きないでくれと願いつつ、みんなでお菓子パーティーをした。