第6章 夏 休 み 合 宿 前 半 戦(♡)
全く乗り気はしなかったけど、ずっとこうしている訳にもいかず、黒尾と一緒に体育館に戻ることにした。午後の試合はもう始まっていて、烏野と梟谷が対戦しているところだった。
ボール籠の近くに集まって作戦会議をするみんなの所へ向かうと、孤爪がいち早く気付いて駆け寄る。
「悠里、大丈夫だった?」
『うん、今は落ち着いてる、
ねぇ目赤くないかな、分かんない?』
「うん、いつもの可愛い悠里だよ」
ゆるく笑う孤爪にごめんねと言えば、おれはありがとうが聞きたいなと言われ、たくさんありがとうと言い直した。
いつもなら真っ先に駆け寄って心配するであろうリエーフは、犬岡ら1年生と話し込んでいて、こちらに来る様子は無い。
怒らせちゃった、よね。
『リエーフ、あの...』
「研磨さん、さっきのトスなんですけど」
する、とわたしの横を通り抜けるリエーフ。あれ、今、聞こえてなかった、かな。視界の端に戸惑ったような孤爪が写る。話してくれないんじゃ、謝ることもできないや。
後で話そう、と諦めて、ボトルの入った籠に手を伸ばす。軽くなったそれを抱え、水道に行って水を足す。昨日と同じ、クエン酸入りとスポドリの粉末入りの2種類を用意した。
体育館に戻れば音駒と森然のゲームが始まるところで、気持ちを切り替えてノートを開いた。でも、そんな簡単に気持ちは切り替わらなくて、何回も間違えたりしょーもない凡ミスばかりだった。
全ての試合が終わった後、京治にいつものように声を掛けられる。
『ありがとう、でもごめん、
今日ちょっとしんどいから食堂の方行くね』
「分かりました、無理しないでください、
あと、俺に手伝えることあれば、言って」
今日はみんなの優しさが沁みる日だな、と思いながら、ありがとうと伝えて食堂に向かった。マネちゃんたちとテーブルの準備や配膳をしていれば、あっという間に時間は過ぎて行った。
マネちゃんたちと部屋で雑談中、近くのドラッグストアまだやってたな、と思い、明日に備えて痛み止めとナプキンを買いに行こうと立ち上がる。