第6章 夏 休 み 合 宿 前 半 戦(♡)
さすがにこの体でマネちゃんたちと一緒にお風呂するのは忍びなく、生理が来たと嘘を吐いて、23時過ぎに一番最後に入った。汗を流してサッパリし、お湯で温まってほかほかだ。
目が冴えててすぐ部屋に戻る気にもならなくて、自販機で冷たいミルクティーを買い、なんとなく廊下にあるベンチに座る。なんなのだろう、この合宿2日目にして既にハプニング盛り沢山な感じ。
『はぁ、あと5日間かぁ…』
「何してるんですか」
『えっ、あ、月島くん…と、山口くん』
声を掛けてきたのは月島くんで、その後ろには山口くんもいた。なんか自販機飲む、と聞けば、アイスココアとスポドリのオーダー。手渡して、一緒に座る。
『この時間にココアって、
月島くん、甘いの好きなの?』
「はいっ、ショートケーキとかも好きで
ツッキーはケーキ屋さんもよく行くよね」
「山口うるさい」
答えてくれたのは山口くんで、月島くんは鬱陶しそうに言う。ごめんツッキー、と笑う山口くんから、いつものやり取りなんだなと分かった。
「そんなことより、僕たちといて良いんですか?」
『何が?』
「コレ、付けたの灰羽でしょ」
ツン、と長い指が差すそこには、先刻リエーフに付けられた真っ赤な独占欲。しまったお風呂上がりで油断してた、と慌てて手で隠すも時すでにお寿司、いや遅し。
ボンッと月島くんの後ろで真っ赤になった山口くんが、急用を思い出したので失礼しますと駆け出していく。痴女だと、思われただろうか。
「欲のままに動くのが彼氏だと
先輩もなかなか大変そうですね」
『絶対大変そうとか思ってないよね』
「ハハ、ちゃんと心配してますよ」
嘘っぽくへらりと笑う月島くん。こんな所こそリエーフに見付かったら大変だからと思い、わたしもそろそろ部屋戻るよと立ち上がる。
着替えや洗面道具の入ったトートバッグに伸ばした手を、月島くんが捕らえる。
「灰羽に飽きたら、
いつでも相手しますよ、先輩?」
咄嗟に引っ込める手、目の前の男の子は、本当に高校生かと疑わしいほどに、色っぽく笑う。本能が、こいつはやばいと告げる。
失礼しました、と去っていくその背中から、怖いのに、わたしは目を離せなかった。