第6章 夏 休 み 合 宿 前 半 戦(♡)
乱暴してごめんなさい、と言うリエーフ。その目はいつも通りに戻っていて、何かあった時にわたしを心配する顔だ。
「悠里が分かってくれないから、
俺もう何回も言ってるよね、覚えてない?」
『き、気を付けはしたん、だけど…』
「でもブラみんなに見られてるじゃん」
『だからそれは、』
不可抗力で、って言おうとして、やめた。
自分のした事にちょっと罪悪感があって、でも不安で堪らなくて、どうしたらいいか分からない顔、してるから。
『ごめん、なさい……
不安にさせて、こんなことさせて、
でもわたしのせいだし、わたしが悪いよね』
「いや、違くて、俺が、止まれなくて」
背伸びをして手を伸ばし、よしよしと、銀の頭を撫でた。俺悠里にひどいことしちゃった、と顔を覆ってしゃがみ込むリエーフ。正面にしゃがんで、大丈夫だよと髪を撫で続ける。
「俺、悠里のことになると、
自分でも分かんないぐらい周り見えなくて」
『知ってる』
「他の人に、盗られたくないし、
でも悠里にそんな気ないのも知ってて」
余裕無くてだせぇスね、とくぐもった声。そんな事ないよと言えば、顔を上げるリエーフ。しょげた顔は、さながら子犬だ。
『たくさん想ってくれてるのは伝わってる、
でも痛いのはやめて欲しい、怖いから』
「はい」
『わたしはちゃんと好きだから、
そこは自信持って、安心して、ね?』
「はいっ」
悠里大好き、と飛びつくリエーフ。踏ん張り効かなくて、そのままぺたんと尻もちを着いた。
「はー、このまま悠里とえっちしたい…」
『っばか、合宿中はダメに決まってるでしょ!』
すっかり元気になったリエーフに立たせてもらって、借りたジャージのチャックを上まで引っ張り、変じゃないかを確認する。まぁ、肩の痕は見えないだろうし、反対側のキスマークも隠れてるだろう。
ようやく体育館に入ると、遅いぞリエーフと日向くんが地団駄をする。遅れてごめんねと京治に言えば、昨日の続きで2対2をやることに。そこからは特に変わりなくて、いつも通り練習を終えた。