第6章 夏 休 み 合 宿 前 半 戦(♡)
夕方には孤爪も復活したが、大事をとって試合には出ず、お休みになった。控えセッターの手白がコートに入り、Bチームを組んでいる1,2年とはそれなりに合っていたが、山本や福永とはまだ調整が必要そうだ。
春高本番に向けてあらゆる事態に備えないといけないし、いい経験になるだろう。セッターが孤爪でも手白でもスパイカーが合わせられるに越したことはない。
孤爪が1人でも大丈夫というので、ラスト何試合かはベンチから見ることにした。試合終わり、手白に声を掛ける。
『お疲れ様手白、どうだった?』
「トス、あんまりAパスに拘らなくて大丈夫です」
「スマン、俺ら研磨の時のクセが出てるな」
『リエーフ達は?』
「「バッチリ!!」」
物怖じせずに上級生にも要望を伝え、同級生ともコミュニケーション取れてるし、手白セッターありかもなぁ。ふと孤爪を見やれば、黒尾が自販機で買ったスポドリを渡していた。わたし戻らなくても大丈夫そうだな。
生川が最後のフライング一周を終えると、烏野の元気な子たちが水浴び水浴びーと叫びながら中庭へと走っていく。ミーティングを終えたうちの子たちも、そわそわしながらこっちを見てくる。え、これわたしが許可出す感じか、まぁ孤爪いないからそうか。
『………はぁ、
日向くんたちに混ざりたい子はどうぞ』
「「「ひゃっふぅ───っ!」」」
リエーフと犬岡、それから山本が駆け出す。山本お前は3年だろという思いを抑え、まぁ一応エースだからいいかと思い楽しそうな後ろ姿を見送る。
『芝山とか手白は行かない?』
「僕、みんなにタオル取ってきます!」
「俺は見守ってます」
なんか、今の2年生本当に迷惑かけてごめんね。中庭に走り出した手白の背中に手を合わせ、わたしも行くよと芝山の後を追う。道中、最近学校でどうとか、夏休み明け学祭だねとか、そんな話をした。
バレーのことを聞くと、前よりボールが見える、レシーブができている気がする、とのこと。2年生間での連携とか、トータルディフェンスができつつあるのも影響してるのかな。合宿で頑張らないとだねと笑いかけると、同じ目線で破顔する芝山。
うちのリベロはいつの代でも可愛ええなぁ。