第6章 夏 休 み 合 宿 前 半 戦(♡)
なぁなぁナニしてたんですか言えないことですかお宅の彼氏に言っちゃおっかなぁと、それは腹立つウザったらしい顔で詰めてくる黒尾に、分かりました、と口を開く京治。
「実は、柏木さんに水掛けられて」
『いや違うってあれは事故だから!』
「なんか、ソウイウ人だったんですね...」
『月島くんまでそんな顔しないで!?』
「いいこと聞いちゃったーん!」
ドップラー効果を盛大に発揮しながら、食堂まで全力ダッシュする黒尾。なんであいつあんなに元気なんだよ、わたし追いかける気力も体力も無いが。
『黒尾は待てコラほんとにだるいって!』
「柏木さん可哀想...」
確実に京治のせいなんだけど、と可愛くない上目遣いをすれば、そうやって余裕ないの珍しくて面白いですと返された。お前の方が可愛くないから、面白くないから。アッハ、と月島くんが隠す様子もなく笑う、ほんとに可愛くない後輩ども。
後でリエーフになんか言われるかな、黒尾余計なこと言ってないかな、言ってそうだな、98%の確率で。
そう思いながら食道に着けば、リエーフと日向くんはどっちが先にたくさん食い終わるか勝負をしている。ニヤニヤしながら2人を眺める黒尾の様子から、まだ何も言ってないようだ。幸運なことに、今日の黒尾は2%の方だったらしい。
『リエーフ、サポーター置いてってる』
「ふんまへんもらいまふ!」
『あぁちょっと、飛び散ってるから!』
食べながら喋んないどっちかにしなさいと叱り、鼻やらほっぺたやらにちょんと付いている米粒を回収し、そのまま食べる。ヒュウと黒尾が口笛を拭くが、このでっかい猫ちゃんは食べるのに夢中だ。
仕方なくテーブルの上のウェットティッシュで、もぐもぐと咀嚼している口周りとほっぺをぐいぐいと拭く。
「なんか、あれだな、
柏木ってリエーフの母ちゃんみてぇ」
「俺も同感です」
「え!悠里センパイがお母さん!
そうなったら俺めっちゃ嬉しいんですけど!」
『やめてやめて、話がややこしくなる』
そうやってみんなで談笑しながら晩ご飯を終えて、1日目の夜は更けていくのであった。