第1章 高 校 卒 業
わたしもバレー部だったんだなぁ―――
じんわりと胸があたたかくなる。それは黒尾たちも同じようで、メッセージを読みながら鼻をすすったり、ふざけた内容にはツッコミを入れている。そして、部員からの感謝や監督とコーチからの激励の言葉はもちろん、あかねちゃんやアリサさんからの卒業おめでとうという言葉も入っていて、びっくりしたのと嬉しいのとで涙が溢れる。
「悠里さん俺からのメッセージそんなに嬉しかったんスか?」
『灰羽ああぁぁあ…こんなにおっきくなってえぇ…
入部当初はレシーブもできなかったのにいぃぃぃ……』
「それは余計ですって!!」
「バンザイブロックだったのになぁ」
「たくさんシゴいたかいがあったぜ」
俺そんなに下手ですかね?!と悲痛な声を上げる灰羽に、まだまだだよねってみんなが頷く。ちなみに灰羽からのコメントは「ありがとうございました、だいすきです♡!」みたいなやつ。芝山と犬岡は特にマネージャーの仕事を手伝ってくれたこともあり、お話するの楽しかったです!みたいなコメントで、可愛くて仕方がない。
普段無口な福永は、みんなにお世話になりましたというコメントにそれぞれのポジションにちなんだダジャレを添えたらしく、それが黒尾のツボに入ったようでぶひゃぶひゃと笑っていた。山本の力強い筆跡とは真反対で、孤爪のは細くてちょっと右上がりの綺麗な字が並んでいて、個性の塊みたいな後輩たちだなと改めて思う。
これは来年入る後輩たちも苦労しそうだしちょっと可哀想だな、なんて思いながら、3月中と、たまに部活や合宿、大会に顔を出すことを約束して「3年間お世話になりました」と頭を下げて体育館を後にした。
上靴からローファーに履き替える際、つい癖で靴箱に入れてしまい、夜久にお前まだ学校来るつもりか?と口角を上げられた。忘れてなんかないですぅとすぐにバレるであろう出任せを言い、リュックからビニール袋を取り出す。
『次に来るの先生の離任式だよね』
「おー、海は来ないんだっけ?」
「そうだね、大学も地方だから3月も忙しそうで
だから部活には顔出せないかもしれない」
じゃあもうほんとにこれで学校とお別れか、なんて黒尾が言うから、わたしまでつられて寂しくなってしまった。