第6章 夏 休 み 合 宿 前 半 戦(♡)
今回はスポドリだけでなく、薄めて飲むタイプのクエン酸も通販で買って持ってきた。ゴールデンウィークより確実に厳しい気候、熱中症を予防し、疲弊した筋肉を回復するためには、水分とミネラル、それにクエン酸も大切だ。
クエン酸の方のボトルにはテーピングをちぎって貼り、油性ペンで‘クエン酸’と書いた。ボトルを振ってよく撹拌させていると、後ろから足音。振り返れば、月島くんだった。
「柏木さん、また来てたんですね、
もしかして大学生って暇なんですか?」
『ハァ...?』
しまった、普通に嫌な顔しちゃった。フンと鼻を鳴らすと、月島くんは煽りがいのある先輩ですねと見下ろしてくる。縁下くんすごいな、変人コンビだけでも癖あるのに、よくこんな、こんな下級生たちまとめあげてるな。
『可愛い後輩のサポートに来たら
暇人認定されるならもう来ませーん』
そしたら月島くんにももう会えないね、とにっこり作り笑顔を貼り付けると、面食らったような顔をし、それからバツが悪そうに視線を泳がせる。
「いや、別にそこまで言ってませんケド」
『ふぅん、わたしにはそう聞こえたなぁ』
「...............スイマセン」
こっちは見てくれないし、本当に思ってるかも分からないけど、まぁ謝罪の意は受け取っておこう。自分から吹っかけたのに、返り討ちにされてる姿が面白おかしくて、今度こそ本当に笑った。
『わたし先戻るけど、
今日はタオルちゃんとあるんだね』
「まぁ、毎回借りちゃうと
おたくのネコチャンうるさいんで...」
ホラもう来た、と月島くんが顎でしゃくる方を見れば、体育館の扉から身を乗り出し今にも走り出そうとするリエーフを抑える山本の姿。あまりにも必死で、月島くんが隣で高らかに笑い声を上げると、より力を入れたようでぐぬぬと呻く。
優しくしないでって俺言ったのにと悲鳴を上げるリエーフに、ただ話してるだけでしょと大声で叱り飛ばし、ドリンクの籠を抱える。
『山本ごめんねぇ、ほらリエーフ!行くよ!』
「ハグァ、天使のほほえみ...」
「悠里センパイ〜!」
『んもぅ、2人とも暑苦しい!』