第6章 夏 休 み 合 宿 前 半 戦(♡)
それから何の話をしてたんだっけと考え、夏休みの合宿のことをようやく思い出す。夏は去年と同じく森然高校、あそこは都会から離れてるしまだ涼しい方だから結構好き。
『黒尾は行く?』
「おぅ、サークルも結局入ってねぇし、
なんだかんだ暇してそうなんだよなァ」
『それなすぎる、
わたしもバイト休んで行こうっと』
仁花ちゃんに会えるの楽しみだなぁ、久し振りに連絡入れておこう。連絡先交換した他のマネちゃんたちにもまたお邪魔しますって伝えておかなくちゃ。
『黒尾から孤爪にわたしも行くって
伝えておいてもらってもいい?』
「おう、頼まれたわ」
そうしてわたしたちはまた合宿に助っ人として参加することになった。ただ前回と違うのは、木兎は実業団の方が忙しくて無理なのと、木葉、夜久も来られないということ。
そうは言ってもほとんどが顔見知りのメンツだし、そんなに身構える必要は無いだろう。 いや、わたしは身構えた方がいいかもしれない。
黒尾と一緒に受けた4限終わり、バイト先に向かいながらそんなことを思う。リエーフにも言われたから、一応京治と月島くんのことは警戒しておいた方がいいんだろうな。いや何を、って話なんだけどさ。
向こうに何かしらの気があっても、わたしからしたらただの後輩だし。何も思わないし。でも、
『男の子って、わからん…』
溜息をつきながら更衣室のロッカーを閉じれば、1つ上の先輩に悠里ちゃんは恋のお悩みかな、とにこにこされる。そんなんじゃないですよ、と答えつつも、そうなんだよなぁと内心は冷や汗。
どうしてこう、女の人って恋愛の話になると目敏いんだろう。ちょっと呟いただけなのに。まぁ、兎にも角にも今はバイト、緑のエプロンをつけると、わたしはレジにたって元気よく挨拶をした。
そうしているうちに大学は夏休みに突入した。森然高校までは在来線を乗り継いで行くことになる。今回も丸々1週間でさらに夏なので、着替えや制汗剤を詰め込んだら、キャリーケースにてんこ盛りになってしまった。
最寄り駅で待ち合わせ、クーラーの効いた電車に乗り込む。ポコポコとスマホが鳴り、開けばリエーフから。今日から合宿ですね!と言う文面と共にスタンプがいくつか。
口角が緩むのを感じ、わたしはそっと画面を消した。